ダブルワーク(副業・兼業)について
今回はダブルワーク(副業・兼業)について見ていきたいと思います。
①なぜ国は副業・兼業を進めようとしているのか、②現状はどうなのか、③将来の方向性はどうなのか、という3点について見ていきます。
厚生労働省は、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日)を受け、平成30年1月に副業・兼業について「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成し、令和2年9月と令和4年7月に改訂しています。
まず、①なぜ国は副業・兼業を進めようとしているのか、という点について、本ガイドライン中の『副業・兼業の促進の方向性』を見てみます。
人生100年時代を迎え、若いうちから、自らの希望する働き方を選べる環境を作っていくことが必要であり、副業・兼業などの多様な働き方への期待が高まっています。
また、副業・兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーション(新製品・新商品の開発に際して、組織の枠組みを超え、広く知識・技術の結集を図ること)、起業の手段や第2の人生の準備として有効とされており、「働き方改革実行計画」において副業・兼業の普及を図るという方向性が示されています。
このことから、多様な働き方への期待、新たな技術開発、オープンイノベーション、起業の手段等に有効であるために副業・兼業を普及させることが主な狙いとなっていることがわかります。
それでは続いて、②副業・兼業の現状、を見ていきます。
- 労働者の状況『厚生労働省「副業・兼業に関する労働者調査結果」』
(調査期間:令和2年7月23日~令和2年7月29日)
副業をしている人の割合は全体で9.7%であり、本業の就業形態別では、副業している人の割合が高い順に、「自由業・フリーランス(独立)・個人請負」が29.8%と最も高く、「自営業」が19.4%と続き、「会社役員」15.3%となっています。
次に、本業の業種別に副業をしている人の割合が高い順に、「農林漁業・鉱業」16.6%、「教育・学習支援業」15.4%、「宿泊業・飲食サービス業」15.1%「学術研究、専門・技術サービス業」14.6%、「生活関連サービス、娯楽業」14.0%となっています。
さらに、副業をしている理由として、「収入を増やしたいから」56.6%、「1つの仕事だけでは収入が少なすぎて、生活自体ができないから」39.7%、「自分で活躍できる場を広げたいから」19.8%という順に割合が高いという結果でした。 - 企業の状況『日本経済団体連合会「副業・兼業に関するアンケート調査結果」』
(調査期間:令和4年7月28日~令和4年8月25日)
副業・兼業を「認めている」企業は53.1%、「認める予定」の企業は17.5%となっています。また、副業・兼業を認めたことの効果として、「多様な働き方へのニーズの尊重」が43.2%、「自律的なキャリア形成」39.0%、「本業で活用できる知識・スキルの習得」18.5%の順に割合が高い、という結果となっています。
最後に、副業・兼業の③将来の方向性はどうなのか、について考えていきます。
ガイドライン中にもありますが、副業・兼業は社会全体としてみれば、オープンイノベーションや起業の手段としても有効であり、都市部の人材を地方でも生かすという観点から地方創生にも活きると考えられます。
また、自身の能力を一企業にとどまらずに幅広く発揮したい、スキルアップを図りたいなどの希望を持つ労働者がいることから今後、副業・兼業が増加していくものと思われます。
企業には、長時間労働や企業への労務提供上の支障、業務上の秘密の漏洩等を招かないよう留意しつつ、雇用されない働き方など、労働者の希望に応じて幅広く副業・兼業を行える環境が整備されることが求められます。
副業・兼業のような働き方が増加することが予測されるなかで、働く人には自律的なキャリア形成が求められ、事業主には人手不足のなか、柔軟な雇用制度の導入と副業・兼業の有効活用する積極的な姿勢が求められると思われます。
- 私は世の中にどのようなお仕事があるか研究している、なぅ先生です。
これから、お仕事について一緒に勉強していきましょう!!