お仕事役立ち情報:これからのワークライフバランス
今回は、前回に続いて特定社会保険労務士の山口先生から、ワークライフバランスについての
お話が寄せられたので紹介するよ。
「これからのワークライフバランス」
ワークライフバランスというと、みなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか?「ワーク
ライフバランスは、子育てしながら働く人のためのもの」というイメージを持つ人が多いかも
しれませんね。
ワークライフバランスは本来、「仕事と生活の調和」という意味で、「一人ひとりがやりが
いや充実感を持ちながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活においても、
子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて、多様な生き方が選択・実現できること」
を指します。
ところが現実としては、依然として約6割の女性が第一子の出産を機に退職しています。子
育てと仕事の両立が困難な具体的要因として多いのは、長時間労働と職場の雰囲気です。また
介護休業の取得率はわずか約3%。介護離職者は年間約10万人おり、その中には会社に介護
休業を申し出る前に離職している人も多数います。介護離職者の約2割は男性ですから、男性
にとってもワークライフバランスは他人事ではありません。
長期的な展望でキャリアを積み会社に貢献できる人や、十分な経験・技術・能力を持つ人が
今まで通りの働き方ができないという理由で退職するケースが、まだまだ多いのが現実と言え
そうです。
しかし、これからは、労働力人口が減少する一方で、子育て・介護・病気・地域活動など、
様々な事情を抱える労働者はどんどん増えていきます。これらの人が働き続けられる環境の整
備は待ったなしです。すでに「求人を出しても応募がない」、「採用して教育しても、一人前
になる前にやめていく」など、従業員の採用や教育にコストをかけながらも、人材の定着や育
成が思うほど進まないことに悩んでいる企業も増えています。
これからの時代は、時間的な制約、場所的な制約など、一定の制約を抱えながらも働き続け
られる仕組みが必要となってくるでしょう。例えば、転勤ができない人は地域限定正社員、フ
ルタイムで働けない人は短時間正社員など、今までにはない制度を設けることも、多様な人材
を活用するための有効な手段になりそうです。また、ワークライフバランスの視点から、仕事
の進め方を見直して業務改善を行った結果、生産性が向上した会社もあります。
ワークライフバランスを進めるためには、今ある制度に人を合わせるのではなく、働く人に
合わせて柔軟に制度を導入・変更していくことが求められます。今いる社員が仕事を続けてい
く上で困難な事情が生じた場合、その事情をクリアする方法がないかを一緒に模索してみてく
ださい。時には、前例や固定観念にとらわれない発想を取り入れる決断も必要かもしれません
ね。
家事・育児・介護を担いながら働く人は、常に複数のことを同時進行でこなしていますから
段取り能力に長けています。また、長年会社に勤めた経験豊富な年配社員は、フルタイムで働
けなくても、会社にとっては貴重な技術・経験の伝承者となります。
制約がある中で働く人にも、素晴らしい強みがたくさんあります。これらの人が働き続け、
活躍することができれば、会社にとっては大きな財産になり、会社の発展にもつながります。
職場でのワークライフバランスを考えることは、年代や性別を超えたすべての社員のためであ
ると同時に、会社のためでもあるのです。
≪特定社会保険労務士 山口民枝≫
- 私は世の中にどのようなお仕事があるか研究している、なぅ先生です。
これから、お仕事について一緒に勉強していきましょう!!