お仕事役立ち情報:シニアのパワーを活かす(その1)
今回は、特定社会保険労務士の山口先生から、シニア世代の活躍についてのお話が寄せられた
ので紹介するよ。
「シニアのパワーを活かす(その1)」
職場でのワークライフバランスは、すべての社員だけでなく会社にとっても大切な取り組み
である、という話は前回しましたね。会社としてより良い仕事をし、お客様に喜んでもらうた
めには、性別や年代を問わず、大切な労働力をいかに活かすかが重要になってきます。
今回はその中でも、シニア世代の活躍についてお話したいと思います。
少子高齢化が進み、労働力人口は急速に減少しています。そして、この状況は今後も続き、
人手不足はますます深刻になっていくでしょう。求人を出してもなかなか応募がなく、慢性的
な人手不足が続いている会社も少なくありません。以前は、定年まで勤めた社員が退職した
分、若い社員が入社して定着する、というサイクルが成り立っていましたが、今ではそのサイ
クルが成り立たない会社も多く見受けられます。
また、社会の状況も大きく変わってきています。年金の受給開始年齢は徐々に高くなり、現
在は、62歳から報酬比例部分が支給されることになっています(女性は5年遅れのスケジュ
ールです)。それに歩調をあわせて、高年齢者を雇用する法律も改正されています。
高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用を確保するために、①定年の引き上げ、②継続
雇用制度の導入、③定年の定めの廃止、のいずれかの措置を実施することが義務付けられてい
ます。多くの会社では、②継続雇用制度の導入を実施していますが、以前は継続雇用制度の対
象となる高年齢者を労使協定で限定できる仕組みが認められていました。
しかし平成25年4月の法改正で、その仕組みも廃止されました。現在は、経過措置として
法改正前に労使協定で継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた会社のみ、老齢厚生
年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の年齢の者について、継続雇用制度の対象者を限定す
ることができます。平成28年4月1日からは、62歳以上の者のみを対象とすることができ
ます。
つまり、61歳までの労働者は、希望すれば全員を継続雇用しなければいけません。そして
この経過措置も、年齢が徐々に上がっていき、平成37年4月には、希望者全員を65歳まで
雇用することになります。その際に、「若い人が集まらないから」、「法律で決まっているこ
とだから」と考えて雇用するか、「若手社員の教育や育成で力を発揮してもらいたい」、「会
社の貴重な人材として働いてもらいたい」と考えて雇用するかで、会社の人材活用は大きく変
わってくるのではないでしょうか。
今の時代は、個人差はあるものの、60歳を過ぎても健康で体力もあり、働くことを希望す
る人が多くなっています。そして、お金のためだけではなく、「人の役に立ちたい」、「これ
までの経験を次の世代に伝えたい」という高い意欲を持って働いている人も大勢います。
また、シニア世代がこれまでの職業生活の中で培ってきた経験や技術は、一朝一夕で得られ
るものではなく、会社にとっても大切な財産と言えるでしょう。シニア世代に活躍の場があり
その能力を十分発揮することで、新たな価値観を見出すこともできるでしょう。
次回も、シニア世代の雇用についてお話したいと思います。
≪特定社会保険労務士 山口民枝≫
- 私は世の中にどのようなお仕事があるか研究している、なぅ先生です。
これから、お仕事について一緒に勉強していきましょう!!